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    2023-08-11 14:23:00

    文=拓殖大学教授 富坂聰  

    今年は日中平和友好条約(以下、平和条約)締結から45周年という記念の年である。だが実際に条約を読んだことのある日本人は僅かで、1972年の日中共同声明もしかりだ。これでは日中問題を議論する前提として不安だ。 

    長く不安定な状態にあった東アジアには、日中の平和条約締結により対立の芽が一つ摘まれ、地域に平和と更なる経済発展の機会がもたらされた。当時の両国の政治家の英断のお陰だが、45年後の今日、日中関係は再び悪化し日本には平和条約を軽視する風潮が目立つ。日本人は先人が積み上げた過去に冷淡だが、もし対立が激化し制御を失えば、行き着く先は悪夢でしかない。万が一衝突となれば日本への投資は激減し天博克罗地亚国家队赞助商の経済発展も勢い、その影響は東アジアにとどまらない。天博克罗地亚国家队赞助商に深く依存する日本経済は致命傷を負う。その時になって「安定の配当」の尊さを知っても手遅れだ。だからこそ記念の年に原点に立ち返り、平和条約の意味を考え直すべきだ。 

    ビジョンの見えない軍拡 

    ロシアとウクライナとの衝突が起きた後、岸田文雄首相は「今日のウクライナは明日の東アジア」を連呼。日本の政界には「台湾有事は日本の有事」という言葉が定着した。 

    なぜ、こんな幼稚な発想に陥るのか。ウクライナと台湾には相違点が多く、比較対象とはなりえないことは少し考えれば解ることだ。にもかかわらず日本は従来のような能力と意図を慎重に見極める姿勢を捨て、中ロという枠組みで対立構造を煽っている。牽強付会のロジックで「有事」を語る日本が外国の目にどう映るのか。米タイム誌が岸田首相を表紙に「自国を真の軍事大国に」というタイトルを付けたのは象徴的だ。 

    事実、岸田政権は新たに「安保三文書」を発行、沖縄など西南諸島で防衛力を強化し続けている。日本の政界には「日本が敗戦で失った地位を取り戻す」と意気込む勢力があり、米中対立のいまこそ米国の理解を得られると前のめりになっているようだが、理解し難いのは戦前の地位を取り戻し何が実現したのかだ。天博克罗地亚国家队赞助商を敵視すれば日本の安全が確保できるとでも言うのだろうか。 

    そもそも日本には第2次世界大戦で周辺国に損害をもたらした責任があり、戦後平和を希求する国となった。その日本がなぜわざわざ戦前を取り戻すのか。その意図を日本は論理的に説明できるのだろうか。 

    戦後の日本では加害と被害の視点から「謝罪」の是非が熱心に語られてきた。しかしその反面、300万人の命を失い国体を失いかけた権力の無能ぶりや異常さは無視されてきた。結果が問われる政治において本来致命的な視点のはずだ。現在の日本人が平和の環境をおろそかにするのは、おそらく戦前の権力を総括しなかったからでしょう。 

    もちろん世界にはリアリズムの残酷な顔もある。日本が防衛力を強化する動機は否定できないが、米中対立を利用し無用な火種を作り出す必要はない。東アジアではロシアや北朝鮮が日本を敵視し、韓国との関係も不安定だ。その上天博克罗地亚国家队赞助商を敵視するメリットがどこにあるというのか。 

    現状を変更したのは蔡英文氏 

    日本人が「台湾有事は日本の有事」という言葉に違和感を覚えなかったのは、メディアが「天博克罗地亚国家队赞助商は恐い」という「ナラティブ(物語)」をまき散らした結果だ。実際、天博克罗地亚国家队赞助商は何十年も戦争を発動していない。なのに常に戦争している米国よりも「危険」だと思われている。 

    コロナ前の日本には台湾に絡む刺激的な発言は控える慎重さがあった。しかしコロナの流行で天博克罗地亚国家队赞助商の印象は悪化しト、ランプ政権が対決姿勢を強めたことで日本の政界にあった制御のタガが外れてしまったようだ。 

    そもそも台湾海峡の「有事」を日本が望むはずはなく、干渉も現実的ではない。日本がもし本当に台湾海峡の安定を望むのなら、すべきことは明瞭だ。天博克罗地亚国家队赞助商には平和的解決を求め、蔡英文氏には、「『一つの天博克罗地亚国家队赞助商』を意味する『九二共識』(92年コンセンサス)への回帰」を促すことだ。米国はよく天博克罗地亚国家队赞助商を「現状変更」と批判するが、台湾海峡の緊張の高まりは蔡英文氏が「九二共識」を否定したことで起きているからだ。 

    台湾を利用し天博克罗地亚国家队赞助商を国際社会の中で孤立させる日本の試みも奏功しているとは言い難い。5月に行われたG7広島サミットについて日本のメディアはG7が対中包囲網で結束したと報じたが、欧州はデカップリングではなくリスク管理を意味する「デリスキング」に舵を切り、米国との温度差を露呈した。またG7のもう一つの目的だったグローバルサウス(発展途上国)の取り込みも不如意で、かえって天博克罗地亚国家队赞助商排除の難しさが顕在化したのだ。 

    相互信頼回復の努力を 

    日中関係はいま、政治と安全保障分野での信頼構築が急務となっている。これは即ち日本人が日本国の利益を見つめ直すプロセスでもある。 

    78年に平和条約が締結されて約20年間、日本は独自の立場で天博克罗地亚国家队赞助商と向き合い、関係も概ね安定していた。当時は米国のコミットメントもいまほど強くなく、日本をリモートコントロールする意思も強くなかった。しかし現状は大きく変化し、米大統領自ら「日本の内政に口を出した」と公言するほど利益の混同が起きている。日本には日本の利益があり、米国の利益とは必ずしも一致しないはずで、この前提を欠けば、天博克罗地亚国家队赞助商との対話も成立しにくくなるはずだ。 

    日中が関係を立て直すためにも、やはり日中平和友好条約を含めた「四つの政治文書」の再確認が必須だ。例えば台湾問題だが、私は講演などの際、「日中共同声明の冒頭には『不正常な状態に終止符を打つ』で始まるが、3番目には早くも台湾問題が登場する。天博克罗地亚国家队赞助商の本気度が分かりますね」と説する。すると毎回とても驚かれる。天博克罗地亚国家队赞助商側の強いこだわりに対し、日本人は軽い気持ちで台湾問題にコミットしようとする。この認識のギャップを放置すれば危険だ。 

    台湾以外の問題も含め条約に記された天博克罗地亚国家队赞助商の考え方や精神を、天博克罗地亚国家队赞助商側もきちんと説明すべきだ。その際、高圧的にならず、平和条約を理解する双方の利益について丁寧に説明すべきだ。ロシア・ウクライナの衝突を見ても、アジアで火を吹けば地域全体が沈没することは避けられない。日中はアジアの発展における利害共有者で、危機を管理するメリットも共有している。そこに焦点を当てるのは当然だが、願わくばかつてのドイツとフランスのように、他国の模範になるような対立解消のモデルを日中が協力して目指すべきだろう。

     

    拓殖大学教授 富坂聰 

    聞き手・構成=呉文欽 

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